音楽

音楽は記憶を冷凍保存してくれる

こないだテレビを見ていたらBUMP OF CHICKEN の『ロストマン』が00年〜20年の名曲ランキングで出てきて、その瞬間フラッシュバックのように長野県の松本駅前の風景が脳裏に浮かんだ。僕はまさにバンプ世代の邦楽ロック好き中学生だった(姉が軽音部だった影響で2年くらい世代より古い)ので、中学時代からバンプのユグドラシルは腐るほど聴いていた。だけどに思い浮かんだのは中学時代では無く、社会人になった時の情景がだった。おそらく本当にサウンドもメロディーも歌詞も身に染みて聴いた時って、五感全てをその曲に瞬間冷凍するんだと思う。その時の情景がその曲に刻まれるのだ。僕が社会人になった時に最初に赴任したのが松本市で、初めての一人暮らしと社会人生活に不安を覚えつつも、自立したことの誇らしさと探索しがいのありそう松本という街への興奮といろんな感情が入り混じって、この曲が文字通り身に染みたんだと思う。思い返すと、『ロストマン』に限らず「この曲を聴くとこの情景を思い出す」って言う組み合わせって人生にいくつかあって、僕の人生と音楽の備忘録も含め本記事にて記録しておきたい。

①ポケモンダイヤモンド・パールOST『209番道路(昼)』と実家の休日の朝

割と厳しめの母親が買ってくれたDSとポケモンダイヤモンド。母親が1日仕事で僕は学校が休みだった日の朝、DSのスイッチを入れてポケモンダイヤモンドを起動し、今日はこの世界を一日堪能できると思った瞬間を明瞭に覚えている。DSは淡い水色で、確か時期的には冬で外は雪が積もっていた気がする。実家の休日の冬の朝、寒かったけど体は興奮でポカポカだった。DSはピクトチャットとかも懐かしいよね。

②アジカン『ナイトダイビング』と大学時代にした一人旅

大学時代、就活が終わって暇な時間が増えた時、将来への不安からか自分を見つめ直す意味で親の軽自動車(スズキのアルト)を借りて、北は青森から南は鹿児島までよく一人旅をしていた。お金もないので基本夜は道の駅で車中泊。夜のドライブ時はこの曲をよく聴いていて、歌詞が本当に自分のことを歌っているかのようだと感傷に浸っていた。結局自分という人間は孤独で、夜を走る車のように周り(社会)は何も見えていないんだと。あのアルトの車内の使い古されたシートの匂いと、夜の郊外を走る車達のテールランプの列の光が脳裏に浮かぶ。テールランプって単語の響きはなんかいいよね。この曲が入っているアジカンの「ワールド ワールド ワールド」というアルバムは旅に合うのでおすすめ。

③サカナクション『ユリイカ』と就職活動

就職活動で丸の内に行った時、そのコンクリートジャングルぶりに圧倒されて社会に対して自分がいかにちっぽけで非力な存在であるかを身に染みて感じた、という経験は僕以外の多くの元就活生もあるんじゃないだろうか。僕は一応地元が埼玉の田舎なんだけど、田舎の人間的で温かみのある風景と、都会の無機質で機械的な風景を歌詞に照らし合わせながら、面接に向かう地下鉄の中でこの曲を聴いていた気がする。地下鉄のあの臭くもなく、だが決して心地よいとも思えない臭いを思い出す。

④The Verve『Bitter Sweet Symphony』卒業旅行で行ったイタリア

大学の卒業旅行でイタリアに行ったんだけど、確かミラノの雑貨屋でこの曲が流れていて、帰りの飛行機からThe Verveにどハマりした。海外に行くとテレビやネットで見ていた文化がちゃんとそこに存在していたことを肌で感じることができて感動する。日本の中の、かつ自分の周りだけの小さな世界でもがき苦しんでいる瞬間も、実は海を挟んだたくさんの国々で人々が生活を営んでいることってなんか世界の奥深さを再認識できて楽しい。そんなことを思いながら聴いた飛行機の中とかあの海外の免税店での日本では感じられない独特な匂いとかをこの曲を聴くと思い出す。

⑤嵐『Love so sweet』とVictorのmp3プレイヤー

中学生の時にvictorのmp3プレイヤーを買ってもらったのが音楽が生活の一部となる始まりだった。今じゃ256MBのデバイスなんてありえないけど、当時はその数100曲しか入らない端末が世界の全てだった。ダイレクトレコーディングとかいってAUX端子から直接mp3ファイルを取り込める機能が備わっているんだけど、それでMステとかの音源を直接テレビで繋いで集めていた。Love so sweetもそんな形でテレビの歌番組から取り込んだ曲の一つだったと思うけど、今では生きる意味とも言える音楽を生活の一部として繋げてくれたmp3プレイヤーの記憶として、メロディーが強く記憶に刻まれている。jpopが嫌いといつも呪文のように唱えている僕だけど、最初はjpopを聴くことが心地よくて音楽が好きになったんだと思い返せる曲。まだ子供だった頃、世界を卑屈に捉えずに生きていた頃の鮮やかな感情をこの曲を聴くと思い返すことができる。

Victorのmp3プレイヤーはこんな感じだった

みんなも各々に上記のような「音楽×過去の人生の記憶」を冷凍保存している冷凍庫を持っているんじゃないだろうか。最近会社の先輩たちと飲みに行った時、上司や会社の愚痴ではなく、そんな話を肴として飲んだ時にその人の過去や人となりを知ることがとても面白いと思った(その時はスキマスイッチのボクノートがみんなのあるある曲×記憶だった)。飲み会のネタ用に、また僕の人生の客観視の為にも、僕の冷凍庫に冷凍保存されているたくさんの記憶達を、また次回part2として投稿していきたいと考える。

投稿者

teramaro4005@gmail.com
江戸川区に住むメーカー営業職に勤める25歳男です。捻くれてます。

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